記事監修:永吉健志郎
五十肩とは?正式名称と一般的な症状
五十肩は正式には「凍結肩(Adhesive Capsulitis)」と呼ばれ、40〜60代の中高年層に多く見られる肩関節の障害です。日常生活に支障をきたすほどの痛みと可動域制限が特徴です。
なぜ「五十肩」と呼ばれるのか?
この症状が最も多く発症する年齢が「50歳前後」であることから、日本では「五十肩」という通称が一般化しました。ただし、30代や70代でも発症例はあります。
主な症状:夜間痛・動作時痛・可動域制限
五十肩の代表的な症状は以下の通りです:
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夜間痛:特に眠っているときに肩がズキズキ痛み、眠れなくなる
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動作時痛:服の脱ぎ着や髪を洗うときの鋭い痛み
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可動域制限:腕を上げられない、後ろに回せないといった制限
【最新知見】五十肩の痛みのメカニズム
以前は「炎症性の肩こり」とされていた五十肩ですが、近年の研究により、そのメカニズムが大きく見直されています。
炎症だけではない「神経性の痛み」
最新の論文では、神経ペプチド(CGRP)や異常知覚神経の新生が痛みの悪化に関与していると報告されています。つまり、ただの筋肉痛や炎症ではなく、神経系の異常興奮が痛みの原因となっているのです。
筋膜と血流障害の関係性
筋膜の癒着や血流の悪化も、痛みや拘縮を引き起こす要因として注目されています。血液循環が滞ると、酸素や栄養素が不足し、慢性的な炎症状態が続くことになります。
慢性化の鍵は「線維化」
拘縮期には、肩関節包が線維化し、癒着が進行します。この段階で適切な対応を怠ると、可動域制限が長期化するリスクがあります。
最新の国際研究5選から読み解く五十肩の真実
五十肩の研究は世界中で進んでおり、信頼できる国際論文が次々と発表されています。
Nature Reviews:神経新生と血管異常の関与
この論文では、糖尿病患者は五十肩発症リスクが10倍以上と報告。痛みの原因には神経の異常な新生や**血管の再構築(血管新生)**が関わっていると示唆されています。
Frontiers:ストレスとGABA神経の影響
GABA系神経の機能異常やストレスの蓄積が、炎症と痛みを悪化させるメカニズムも報告されており、精神的ストレスも無視できない因子です。
韓国ガイドライン:代謝疾患との関係
糖尿病、高脂血症、甲状腺疾患などの代謝異常が五十肩リスクと直結。関節内ステロイド注射とリハビリ併用が有効とされています。
Indian Orthopaedics:自然治癒 vs 手術介入
五十肩の多くは12〜18ヶ月で自然回復しますが、難治性の場合は手術も選択肢に入るとされています。
MDPI:画像診断の重要性
MRIやMRA、エコーを活用することで、内部の滑液包・関節包の状態を可視化可能。正確な診断が治療の第一歩です。
五十肩は3つの病期に分かれる
五十肩は自然経過において、以下の**3つの病期(フェーズ)**をたどることが知られています。それぞれの時期に応じた対応が重要です。
疼痛期(初期)とは?
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期間:1〜3ヶ月
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特徴:炎症が強く、夜間痛や安静時痛が顕著
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推奨ケア:過度な運動は避け、アイシングや消炎鎮痛薬で痛みを抑える
拘縮期(中期)の特徴
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期間:3〜9ヶ月
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特徴:炎症は落ち着くが、関節包の線維化と癒着が進行
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推奨ケア:痛みを見ながらの可動域改善エクササイズ、温熱療法など
解凍期(後期)での注意点
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期間:9〜18ヶ月
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特徴:痛みが和らぎ、可動域が徐々に改善
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推奨ケア:運動療法を強化し、日常動作を正常化していく
五十肩の基本的な対策法
五十肩の改善には、**「病期に合わせた保存療法」と「生活習慣の見直し」**が不可欠です。
保存療法:鎮痛剤と注射の正しい使い方
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NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)で痛みの緩和
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関節内ステロイド注射は拘縮の早期緩和に効果
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痛みが強いときは無理なストレッチは禁止
運動療法とストレッチの落とし穴
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解凍期に入ってからのストレッチは有効
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ただし自己流のリハビリは悪化のリスクあり
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専門家による段階的な運動処方がカギ
生活習慣改善がもたらす長期的効果
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糖尿病・高脂血症のコントロールは再発予防にも有効
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ストレス管理(睡眠・食事・休息)も痛みの軽減に直結
自己判断はNG!正確な診断が不可欠な理由
MRI・エコーでわかる内部の状態
画像診断によって、
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関節包の肥厚
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滑液の貯留や漏出
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滑液包炎の有無
といった内部構造が明確になります。特に**超音波検査(エコー)**は、低侵襲で動的な評価が可能な点で優れています。
誤ったストレッチが悪化させる可能性
拘縮期に強引なストレッチを行うと、
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筋繊維の微細損傷
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神経の過敏化
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炎症の再発
といったリスクがあり、症状が長期化してしまうケースも少なくありません。
横浜市青葉区のながよし整骨院の対応とは?
横浜市青葉区にあるながよし整骨院では、単に痛みを抑えるだけでなく、根本からの改善を目指したアプローチを行っています。
根本的評価と個別対応型ケア
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病期を正確に見極めた段階別アプローチ
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筋膜・神経・血流の状態をチェックし、個別対応
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細かな検査を活用して状態を可視化
自律神経・栄養バランスの観察
五十肩の慢性化には、自律神経の乱れや栄養バランスの変化も影響しています。当院では、それらも含めた包括的なケアを行います。
【よくある質問】五十肩の痛みに関するFAQ
Q1. 五十肩は自然に治りますか?
A. 約7割の方は1〜2年で自然改善しますが、3割は後遺症や再発の可能性があるため、早期介入が推奨されます。
Q2. 夜間痛がひどい時の対処法は?
A. アイシングと横向き寝のサポートクッション使用が効果的です。
Q3. 運動はしたほうがいい?
A. 病期に応じた軽い運動は効果的ですが、拘縮期の過剰なストレッチは逆効果です。
Q4. 注射はクセになる?
A. 適切な頻度と量であれば依存性はありません。痛みの強い初期には有効です。
Q5. 五十肩と四十肩の違いは?
A. 基本的に同じ症状ですが、年齢による呼称の違いです。
Q6. 保険は使えますか?
A. 一部の施術は健康保険の適用外となるため、詳しくは当院にご相談ください。
まとめ:放置せず、早期対応を
五十肩の痛みは、神経・炎症・代謝・生活習慣が複合的に絡む疾患です。
そのため「そのうち治る」と軽視せず、病期に応じた適切な対応と専門的な診断を受けることが大切です。
📍五十肩の痛みでお困りの方は、ぜひ一度【ながよし整骨院】へご相談ください。
参考文献一覧(外部リンク)