執筆:永吉健志郎
「毎日ストレッチしてるのに、なぜか痛みが悪化してきた…」
「肩が少し動くようになってきたから、チューブで鍛えてます」
ちょっと待ってください。
そのセルフケア、今のあなたに合っていますか?
五十肩(肩関節周囲炎/凍結肩)は、実は発症から回復まで3つの段階(フェーズ)**に分けられます。
そしてこのフェーズに合わせた運動を選ばないと――
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痛みがひどくなったり
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回復が遅れたり
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可動域が戻らなくなったり
といったトラブルにつながるのです。
今回は、五十肩の**フェーズ別に「やってはいけないセルフケア」と「やるべき運動」を、専門家の視点からわかりやすく解説します。
五十肩には3つのフェーズがある
まずは、今のご自身の状態をセルフチェックしてみてください。
今のあなたがどのフェーズにいるのかがわかれば、やってはいけない危険なエクササイズや、逆に今やるべきエクササイズのヒントが見えてきます。
より安全に、そして効果的なエクササイズができるようにご自身の今の状態を確認してみてください!
1. 炎症期(Freezing Phase)ー 2~9か月ほど継続
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肩の痛みがじわじわ広がってきた
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特に夜間痛が強く、眠れない
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動かさなくてもズキズキする
この時期は、肩関節内に炎症が強く起きているため、無理な運動は絶対に避けるべきです。
2. 拘縮期(Frozen Phase) ー 4~12か月継続
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痛みは少し落ち着いてきたが
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肩がガチガチに固まって動かない
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上げる・ひねる動きが特に困難
関節包が線維化・癒着して凍結状態になっているため、刺激の入れ方には注意が必要です。
3. 回復期(Thawing Phase) ー 5~26か月継続
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少しずつ動きが戻ってきた
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痛みも以前よりだいぶ楽になった
この時期から、可動域拡大や筋力強化を狙った運動が効果的になります。
フェーズ別|やってはいけない運動とその理由
疼痛期にNGな運動:テーブルスライド
椅子に座って、腕を前に滑らせるストレッチ。
一見優しそうに見えますが、この時期に行うと危険です。
なぜダメなのか?
炎症期の関節包を強制的に引き伸ばす動きになるため、痛みが悪化する可能性があります。
刺激を最小限に抑えることが重要です。
拘縮期にNGな運動:タオルストレッチ(肩内旋)
背中に回したタオルを上下に引っ張る運動。
五十肩の定番セルフケアとして有名ですが、注意が必要です。
なぜダメなのか?
固まった関節包を無理に引きはがすような動きになるため、炎症の再燃や組織の損傷を引き起こす恐れがあります。
回復期にNGな運動:高強度チューブトレーニング
動けるようになったからといって、いきなりチューブでの外転や内旋を強く行うのはリスクがあります。
なぜダメなのか?
十分な筋力や神経制御が整っていない段階で負荷をかけすぎると、再発やインピンジメント症候群を引き起こす可能性があります。
フェーズ別|やっていいセルフケア3選
疼痛期におすすめ:振り子運動(コッドマン体操)
体を前に倒し、腕をぶらんと垂らして、重力に任せて小さく揺らすだけ。
前後・左右・円を描くように、ごく軽く行います。
理由:筋肉を使わず、関節内の循環を良くすることが目的。
炎症を悪化させず、回復の助けになります。
拘縮期におすすめ:壁押しアイソメトリック
壁やドア枠に手や肘を当てて、肩を動かさずに力だけを入れる運動です。
外旋・内旋・外転方向にそれぞれ実施できます。
理由:関節に負担をかけずに筋肉へ刺激を入れられるため、安全に筋力を維持できます。
回復期におすすめ:チューブやワンドでの段階的運動
チューブでの外旋・内旋、棒を使った仰向けでの挙上・外旋など。
理由:動作と負荷を調整しながら筋力と可動域の回復を両立できる運動です。
再発予防にもつながります。
正しいフェーズ判断が五十肩の回復を左右する
五十肩のセルフケアで最も大切なのは、
「その運動が正しいかどうか」ではなく、
「今の自分に合っているかどうか」です。
正しい運動も、時期を間違えれば悪化の原因になりかねません。
こんなときはすぐ専門家に相談を
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セルフケアをしても4ヶ月以上改善しない
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痛みが強くなってきた
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しびれや筋力低下が出てきた
適切なフェーズ判断と施術が、回復を大きく左右します。
ながよし整骨院では“フェーズ別ケア”を徹底
ながよし整骨院では、検査によって現在の状態を見極めた上で、
フェーズに合ったセルフケアや運動指導を行っています。
病院や整体院に行ってもなかなか原因がわからなかった。当対処していいかわからなかったという方に向けて、徹底的な検査であなたのお悩みの原因を探し出します。
実際に多くの方が
「五十肩をここまで丁寧にフェーズで分けて説明してくれたのは初めて」
「情報の多いネットではわからなかったことが整理できた」
といった声を寄せてくださっています。
五十肩でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
エビデンスで示された“適切な運動介入”
以下の研究でも運動療法の有効性が裏付けられています:
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Gentle pendulum exercise の優位性
強い助動やストレッチより、優しいペンデュラム運動が好ましいと示された PMCMDPI。 -
関節モビライゼーション併用の効果
運動療法と関節モビライゼーション併用は、痛み・可動域・機能に大きな改善をもたらすと報告されています jospt.org+15MDPI+15nature.com+15。 -
神経筋運動の優位性
neuromuscular exercise は痛み緩和・可動域改善において従来の運動療法を上回る成果を示しました PubMed。